離婚を切り出した時に、相手も納得してくれそのまま二人の話し合いで決着がつけば離婚できます。
しかし、離婚条件や、そもそもの離婚の意志などで離婚合意が難しい場合、調停を申し込み、離婚調停を行うことになるのです。
離婚調停では、調停委員を間にはさみ離婚についての話し合いを進めていくことになります。
ここで離婚が決まればよいのですが、この調停が不調になってしまった場合は更に次のステップへ進まなくてはいけないのです。
それが「離婚裁判」になります。
離婚したい!けど相手が納得してくれないから即裁判!というわけではなく、離婚問題で裁判になるには、話し合いをしたけれど十分な結果が得られなかったという事実が必要となります。
この事実が離婚調停を行ったけどうまくいかなかったということです。
では、調停がだめだったからさぁ離婚裁判!となるかと言えば実はそうではありません。
離婚のための訴訟を起こすには「法定離婚原因」が必要となるのです。
■離婚について裁判を起こすには民法で定められた事由を満たすことが条件
離婚訴訟を起こす為に、民法では以下のいずれかの理由が必要だと定められています。
○どちらかまたは双方の不貞行為
○悪意の遺棄
○どちらかの生死が3年以上不明であること
○どちらかまたは双方が回復が見込めない強度な精神病の状態であること
○婚姻を継続し難い重大な事由
以上の5点です。
それでは一つ一つについて簡単に説明していきましょう。
○不貞行為
不貞行為とはいわゆる浮気や不倫のことです。民法では夫婦生活を維持するために、夫・妻ともに貞操を守る必要があるとされています。しかし、その不貞行為よりも以前から夫婦生活が破綻していたということが証明されれば、離婚事由には値しなくなります。
○悪意の遺棄
難しい言葉ですが、これは夫婦間の存続を否定する考えの元、正当な理由なく夫婦としての義務を怠っているということです。夫婦間には同居・協力・相互扶助などの義務がありますが、これらの義務を、夫婦生活を破綻させるために、拒否する行為です。
例えば生活費を渡さなかったり、相手が納得していないのに勝手に家を出て行ったりする行為をいいます。
意外かもしれませんが同居している姑との折り合いが悪くて家を出て行ったしまった場合なども悪意の遺棄に当てはまるケースがあるので注意が必要です。
○3年以上の生死不明
相手が勝手に出て行ったり、ある日突然いなくなってしまって消息が分からなくなってしまった場合、3年以上たつと離婚請求が可能です。しかし、この生死不明は客観的に見て生死不明状態であることが重要で、知人や友人などと連絡を取っていてその様子が把握できる場合などは認められません。
○回復の見込みがない強度な精神病
強度な精神病と認められるのは夫婦間での義務を果たせないほどに悪化している状態のときです。配偶者の独断で認められることはまずなく、専門医の鑑定が必要となります。
○婚姻を継続し難い重大な事由
これは上記の4点のどれにも当てはまらないけれど、離婚するに足ると判断される原因がある場合認められます。セックスレスや犯罪行為、金銭トラブルなどはこちらの事由として認められることがあるのです。