「婚姻を継続し難い重大な事由」はどんな事なら認められるの?

離婚裁判となった時に、離婚の是非の判断基準となるのが、法定離婚原因です。

民法では法定離婚原因として、5つの項目を上げています。

その中の一つに「婚姻を継続し難い重大な事由」というのがあるのですが、これは一体どういうものでしょうか?

離婚をしたい!と思う時のその理由って人それぞれですよね。しかし、民法では離婚理由について認めているのは5つの事柄だけです。なら、ほとんどの夫婦は離婚できないの?と思われるかもしれませんが、そういうわけでもありません。

それは、離婚を認められる理由の一つに「婚姻を継続し難い重大な事由」ということがあるからです。

今回は、この「婚姻を継続し難い重大な事由」というのが一体どういうケースなのかについてご紹介していきましょう。

■離婚理由は千差万別…総合的な判断が下されます

離婚したいと思う理由はなんですか?

性格の不一致ですか?それとも配偶者の不倫でしょうか?性の不一致でしょうか?

離婚したい!と思ったけれど、相手がなかなか納得してくれない…なんてなった時に裁判で離婚の是非を問いたいと思うかもしれません。

裁判所が判断するときに基準とするのが民法の770条なのですが、これには以下のような基準が書かれています。

・不貞行為
・悪意の遺棄
・三年以上の生死不明
・回復の見込みがない精神病
・婚姻を継続し難い重大な事由

つまり、明確な記述として性格の不一致などは含まれていないのです。では離婚できないのかと言えばそうではありません。

離婚裁判をされる夫婦の多くが「婚姻を継続し難い重大な事由」があるかどうかと争います。

「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、つまり「夫婦生活を続けていくには難しく、すでに夫婦生活が破綻していると判断できる状況」であるのかということや、「その原因となった理由が今後改善を見込めないものなのか」ということで判断されるのです。

判決結果は夫婦ごとに異なり、総合的に判断されます。

■教えて!こんなケースは離婚を認められるの?

では、ケースごとに婚姻を継続し難い重大な事由として認められるかをみていきましょう。

○配偶者の暴力
家庭内暴力(DV)の場合、医師に診断書をもらい、DVを証明できれば認められるケースがほとんどです。ただし、夫婦げんかの最中に少し押したなど一過性の暴力の場合は総合的に判断し認められないということもあります。

○性格の不一致
客観的に見て、性格の不一致による夫婦生活の破たんが判断できる場合は認められるケースがあります。今後も改善できる見込みがないのかなどがポイントとなるようです。

○一方の過剰な浪費行動
家計が破綻するほどの浪費行動の場合は、離婚を認められるケースと言えます。ただし、話し合いで解決できそうなケースや収入とのバランスを鑑みて著しい浪費と判断されない場合は認められないこともあるようです。

○配偶者の親族との不和
単に折り合いが悪いだけの場合は認められないケースが多いようです。このことが原因となって夫婦生活が破綻したり、病気などになってしまう、努力したけれど配偶者の協力が得られない場合などは認められることもあります。

○不妊
不妊が原因というだけでは認められません。不妊により夫婦関係に亀裂が入り修復の見込みがないなどの場合は総合的に判断されます。

○性の不一致
性交渉の拒否が直接的に離婚原因として認められるケースよりも、それにより夫婦関係が修繕できないほど破たんしたなどのケースにおいて認められるようです。