離婚をする際に、双方が離婚に合意し、離婚届に記入、それを役所に提出すれば離婚が成立になりますが、実は稀に一方的に離婚届を提出されてしまうケースがあります。
こちらは離婚したくないのに、相手が離婚届けを偽装し提出してしまうという事態が実際におこっています。
また、だいぶ以前に書いていた離婚届をパートナーが保管しておいて、こちらが気付かないうちに提出しており、気が付いた時には離婚が成立していた…なんていうケースもあるのです。
「同意していないのに離婚届なんて出されても無効でしょ!」と思うかもしれませんが、一度受理されてしまった離婚届を撤回するのには大変な労力がかかります。
一方的に離婚届を提出される場合、その離婚届にはほとんどのケースで協議離婚にチェックが入っています。この離婚を無効にするためには、調停や裁判などの手続きが必要となってくるのです。
このような事態を防ぐために「離婚届の不受理申出」という制度があります。
■「離婚届の不受理申出」をすれば勝手に離婚できない?
離婚届の不受理申出をすれば、原則一方的に離婚届が提出されたとしても離婚が成立することはありません。
そのため、夫婦関係が破綻していて、「この人なら勝手に離婚届を提出してしまうかも」という場合や、「以前離婚届を書いて渡していたけど記入して提出されてしまうかも…」なんていう時は、念のため、離婚届の不受理申出をしておくことをオススメします。
■どこに申し込みをすればいいの?申し込み時に必要なものは?
離婚届の不受理申出は、基本的には申し込む人(届出人)の本籍地のある市区町村に提出することになります。
しかし、本籍地から離れた場所に住んでいるなど言う場合は、お住まいの市区町村に提出することも可能です。
ただし、その場合でも提出先の市区町村から、本籍地に書類が送付される形となりますので、今日明日にでも勝手に離婚届が提出されるかもしれないという場合は、本籍地で申し込みをしましょう。
申し込みの際に必要なものは、離婚届不受理申出書、写真つきで本人が確認できる身分証明書(免許証やパスポートなど)、印鑑(シャチハタ不可)となっています。
ちなみに申し込みに手数料はかかりません。
■離婚届不受理申出書への記載方法は?
申出書の様式は、地域により差がありますが、基本的に記入する事項は下記のようになります。
・申出人の情報(住所・氏名・生年月日・本籍地・筆頭者の氏名)
・配偶者の情報(特定する場合)(住所・氏名・生年月日・本籍地・筆頭者の氏名)
・申出人のサイン・押印・連絡先
ここで注意をしておきたいのが、配偶者の情報です。この配偶者の情報というのは相手を特定する場合記入しておきます。
例えば、特定するとして配偶者の名前を記入した場合、親族などから代理で提出されれば受理されることになりかねません。
配偶者だけでなく親族から提出されてしまう見込みがある場合は、相手を特定しておかない方が良いかもしれませんね。
■不受理の期間はどのくらいなの?
一度不受理届を提出すると、その有効期限は一体どの程度なのでしょうか?
以前は不受理申出の有効期間は6カ月でした。しかし、平成20年5月以降からは期限が無くなり、一度申出をするとずっと有効となります。
■申出の取り下げにはどうしたらいいの?
申出が不要になった場合は、申出の取り下げを行うことができます。申出の取り下げには、届出と同様に本籍地のある市町村に申請を行う必要があります。
しかし、不受理届提出後、取り下げしなくても、届出人・配偶者共に納得したうえでの離婚である離婚届の場合は受理されますので安心してください。